
症状
初期症状は外見上の異常のみですが、変形が高度になると痛みや機能障害を呈するようになります。 幼少期に認めることがほとんどですが、青年期発症のO脚・X脚も存在します。
原因と病態
下肢の形態的異常をさします。 O脚(内反膝とも言われる)とは、両膝が外側に彎曲した状態で、左右の内くるぶし(足関節内果部)をそろえても、左右の膝の内側(大腿骨内果部)が接しないものです(図1)。 X脚(外反膝とも言われる)とは、両膝が内側に彎曲した状態で、左右の膝の内側(大腿骨内果部)をそろえても、左右の内くるぶし(足関節内果部)が接しないものをいいます

原因は生理的な変形と病的な変形に大別できます。 一般に、乳幼児の膝は生理的にO脚を呈しており、歩行開始後より徐々に外反していき2歳から6歳にかけては逆にX脚傾向となります。その後、外反は少し減少し、7歳ぐらいで成人の下肢形態(約4°の外反)に近くなります。また、生理的な変化は左右対称であり、痛みや機能障害などの訴えはありません。
病的なものとしては、靱帯の異常(内側・外側側副靭帯などのゆるみや欠損など)、先天的・後天的な大腿骨・脛骨の形態異常(Blount病やくる病、骨系統疾患など)、外傷後の変形(骨端線損傷や骨幹部外傷など)などにわけられ、片側のみの変形では病的なものを考えます。

診断
十分な問診や、理学所見(歩行開始後であれば歩き方も観察します)、単純X線(レントゲン)検査などを行い診断とします。 年齢不相応のO脚・X脚があるか、単純X線検査で異常があるか、低身長など内分泌性疾患(各種くる病)を想起させるものがあるか、家族性(遺伝性)があるか、などを参考に各種疾患の鑑別をしていき、病的疾患が除外できた場合には、生理的O脚・X脚とします。
予防と治療
クル病の1つであるビタミンD欠乏性くる病に対してはビタミンDを含む食品の摂取で予防できますが、それ以外は特に予防方法はありません。
生理的なO脚・X脚については、自然に改善するため特に治療の必要はありません。 病的なO脚・X脚の治療は、保存療法と手術療法に大別できますが、装具を用いた保存療法の効果については意見が分かれるところです。変形が高度になった場合は手術療法が必要となり、一般的に下肢の形態異常を矯正するための骨切り術が行われます。 変形の状態によっては、一時的な骨端線閉鎖を目的としたstaple(O脚では外側、X脚では内側に挿入)固定術を施行することもあります。
●
O脚・X脚とは
O脚
脚がアルファベットの「O」のような形になっている状態です。
まっすぐ立った際に両膝がつけられず、外側へとゆがんでしまっています。
乳児の頃はO脚ですが、成長にともない足の形が変化していきます。
しかし、O脚のまま成長してしまうケースもあります。

X脚
脚がアルファベットの「X」のような形になっている状態です。
まっすぐ立った際に両膝が内側へゆがみ、内股になってしまいます。
両膝の内側を揃えても、左右のくるぶしの内側がくっつかないという特徴があります。
●
O脚・X脚を放置するリスク
O脚・X脚を放置すると、次のような不調が生じるリスクがあります。
変形性膝関節症
脚にゆがみがあると、膝関節には過剰な負担がかかります。
負担が継続すると膝軟骨がすり減り、変形性膝関節症を引き起こします。
変形性膝関節症は女性に発症することが多いです。
足底筋膜炎
脚にゆがみがあると足のバランスが悪くなり、足裏にかかる負担が大きくなります。
足裏の負担が蓄積されると足底筋膜が硬くなり、炎症を起こすことがあります。
扁平足
扁平足は、足裏の土踏まずが消失している状態です。
O脚では足裏の外側に負荷がかかるため、足裏のアーチ構造が崩れて扁平足を引き起こしやすくなります。
骨盤のゆがみ
骨盤は、足のつけ根につながっています。
そのため、骨盤がゆがむと足の形に影響を及ぼします。
骨盤の前傾が強まるとX脚になり、骨盤の後傾が強まるとO脚になります。
骨盤のゆがみが生じる原因は、日常の不良姿勢や運動不足などが挙げられます。
また、「足を組む」「片足重心で立つ」「同じ腕ばかりで荷物を持つ」など、身体がゆがむような日常の習慣も骨盤のゆがみを招きます。
座り方、歩き方
誤った座り方をしていると、腰にかかる負担が大きくなります。
例えば、デスクワークで長時間猫背で座るなどすると、骨盤がゆがむ原因になります。
また、誤った歩き方も骨盤のゆがみを招き、O脚・X脚を形成してしまいます。
筋力の低下
筋肉は骨格とともに姿勢を支える大切な役割を果たしています。
筋力が低下すると姿勢を正しく支えることができなくなり、不良姿勢や誤った歩き方・座り方を招きます。

筋肉の緊張
内転筋や梨状筋など股関節や足まわりの筋緊張も関係していることがあります。
筋肉が緊張すると硬くなって骨格を圧迫し、足の形の変形を生む要因になります。
O脚・X脚は改善できないと諦めている方も多いかもしれません。
しかし、日常のセルフケアや接骨院での施術によって徐々に改善することができます。
諦めずに、日頃からケアや予防を心がけましょう。
慢性
内転筋を鍛える
太ももの内側の内転筋を鍛えれば骨盤と膝が安定し、O脚・X脚の改善につながります。
内転筋を鍛える方法は、「スクワット」です。
足を肩幅に開き、膝がつま先よりも前に出ないように意識しながら行いましょう。
背筋を伸ばすことも大切です。
慢性
ストレッチ
股関節や足の筋肉が硬くなっていると、O脚・X脚の悪化を招く場合があります。
ストレッチで柔軟性を高めるようにしましょう。
股関節のストレッチ法
①床にあぐらをかいて座り、両足の足裏をあわせます。
②足裏をあわせた部分を両手で持ち、膝を上下に動かします。
足のストレッチ法
①床に座って片足のかかとをお尻に、もう一方の足は真っすぐ伸ばします。
②上半身を後ろへ倒し、膝下を外側に開いて姿勢を20秒キープします。
③足を入れ換え、反対側も同様に行います。
O脚・X脚の予防法
PREVENTION
O脚・X脚の進行を防止するため、次のようなケアが有効とされています。
01
ストレッチ
膝や股関節が硬くなると、足のゆがみを招きやすくなります。
日頃からストレッチで柔軟性を維持するようにしましょう。
膝のストレッチ
①片方の足は横に伸ばして、もう一方の足は曲げて床に座ります。
②そのまま身体を前に倒していき、20秒ほど維持します。
③足を交代し、反対側も同様に行います。
コメント