
度の合わないメガネをかけたときや、スマートフォンやパソコンの使いすぎで眼が疲れているときに頭痛を経験されたことがある方も多いと思います。スマートフォンなどのディスプレイは強い光を発していますが、この「強い光」が片頭痛を引き起こす・悪化する要因の1つになることがあります。また、その光にはブルーライト(青色光)が含まれており、ブルーライトが頭痛に影響を及ぼしているともいわれています。片頭痛や群発頭痛では、頭痛発作時に眼の奥が痛む場合もあります。眼と頭痛にはどのような関連があるのか、解説します。

寝る数十分〜1時間程度前から、スマートフォンやテレビなどのディスプレイを見ないようにする。
間接照明などを利用して、夜間は強い光を避ける。
部屋の照明を寒色系ではなく暖色系にする、または色を変えられる照明であれば夜間のみ暖色系に変える。
眼の疲れ(眼精疲労)やドライアイが頭痛の原因となることがあります。眼の異常が肩こりや疲労を引き起こし、その心身のストレスから片頭痛や緊張型頭痛になると考えられています。眼精疲労やドライアイの一番の原因はパソコンやスマートフォン等のデジタルデバイスの使いすぎです。デジタルデバイスによって眼の疲れ・痛み、肩こりや頭痛、こころなど全身に及ぶ不調が起こる病気をVDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群といいます。IT眼症(がんしょう)とも呼ばれています。VDT症候群の予防には、1時間作業したら10〜15分程度の休憩をとる、眼とディスプレイの間の距離を40 cm以上とる、などの対策が有効であるといわれています。2、3)

片頭痛や群発頭痛では、頭痛に伴い眼の症状があらわれることがあります。
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)と片頭痛による自律神経症状

眼の症状を伴う代表的な頭痛として、 群発頭痛 があります。この群発頭痛は、三叉神経・自律神経性頭痛〔trigeminal autonomic cephalalgias:TACs(タックス)〕と呼ばれる頭痛のグループに分類されています。TACsの症状は片側にだけ出現することが多く、眼の奥が強烈に痛む「顔面痛」と涙や鼻水などの「自律神経症状」が同時に起こるという特徴があります。三叉神経が活発になり、その興奮により副交感神経系が活性化されることによって、結膜の充血、涙が出る、まぶたが腫れる・下がる、瞳孔が縮む、おでこや顔から汗が出る、鼻水や鼻づまりといった自律神経症状があらわれると考えられています。4)なお、片頭痛でも眼の奥の痛みや、結膜の充血、涙が出るなどの自律神経症状が出現することがあります。どちらの頭痛にも三叉神経(図)が深くかかわっています。三叉神経は眼の周辺の知覚を担当している神経でもあるため、それが眼の痛みと関係しているのではないかと考えられています。
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